元気な事業者紹介 vol.22 KUMIKI PROJECT
二宮町商工会では、持続化補助金に取り組まれた事業所に取材をし「元気な事業所紹介」と題し、インタビューを掲載することとなりました。二宮から全国各地でDIYのワークショップを開催している、お店づくりから場の活性化を促すプロフェッショナル集団でもある若手起業家の会社 KUMIKI PROJECTをご紹介いたします。
質問1 二宮町での創業のきっかけを教えてください。
10年前くらいに二宮へ移り住み、都内の会社まで通勤していました。東日本大震災の復興支援で岩手で仕事をすることになり、岩手で創業した経緯があります。被災地での活動に目処がたち、自然環境の良いところで仕事をしたいという思いも強かったため、2016年に本社をもともと住んでいた二宮へ移転しました。
質問2 創業後の販売開拓はどのようにされましたか?
KUMIKI PROJECTは、「はじめたい人」を「ともにつくる」で支えることを目指し、店舗やオフィス、個人宅などの空間づくりをワークショップを全国各地で開催しています。お店をこれから始めたい人は、まず試しにワークショップに参加者としてきてくれることも多いため今までは積極的に販路開拓を行うことはありませんでした。
最近では、行政の創業支援や空き家活用の部署や、起業支援を行うNPO法人から連携のお声がかかるようになっています。参加型でつくりあげるため、例えば、お店を開業するときの初期投資を減らせ、かつワークショップの参加者がファンになってお店を盛り上げてくれることもあるという利点が注目されています。秋田から京都まで全国各地に住む10名のメンバーとともに事業に取り組んでいます。
質問3 事業をする上で、心がけていることはなんですか?
「お金をだして空間をつくりたい依頼者」と、「ワークショップの参加者のみなさん」に参加して心から良かったという時間を過ごしてもらうことです。つくる空間のデザインや品質は守りながら、素人でもある参加者が楽しめるように、安全対策も含めて様々な工夫をしています。
質問4 持続化補助金採択の前と後ではどのような変化がありましたか?また感想などありましたらお願いします。
今回の採択では、オンラインで床の貼り方やペイントの仕方など、DIYでの空間づくりを学べる動画教材サイトを制作しました。事業の成長には、ワークショップ技術指導を行う「DIT(Do it togetherの略=ともにつくる)インストラクター」が必要不可欠のため、育成クラスを全国で実施しています。教え手によって伝えることにばらつきを無くし、一定の知識と技術を伝えるために、教材のオンライン講座化を実施しました。将来的には、インストラクター育成のためだけでなく、DIYに関心のある一般生活者の方々で、KUMIKI PROJECTの会員になってくれた方も見ることのできる事業展開を考えています。
質問5 いま現在の自社の課題と考えるのなんですか?
せっかく本社を二宮町に置いているので、近隣でも空間づくりワークショップの仕事を増やしていけたらいいなぁと思っています。例えば、商工会さんと起業支援セミナーやお店づくりに関する講座などをやる。そこに集った空間をつくりたいという方々に、ワークショップによる空間づくりを提案させていただき、この町に暮らす人々がみんなで空間づくりを支える。それができれば、二宮町は想いが形になりやすい町となるし、ともにつくった人と人のつながりも増えていくと思います。この流れをつくる実験ができたらと思っています。
質問6 これからの抱負や目標があればお聞かせください。
はじめたい人をともにつくることで支えるために、参加型ワークショップによる空間づくりとDITインストラクターの育成を全国で実施してきました。一昨年より、こうした流れを一層拡げるために「ものづくりを楽しめるシェア工房」も、宮城・埼玉・横浜・富山・神戸・下関に開設しています。今後は、このシェア工房をまずは47都道府県に1つずつ開設する予定です。その結果、どなたでも、年齢関係なく、何かをはじめたいと思っている人を、地域の人が支えることでチャレンジしやすい仕組みづくりを、二宮を始め、全国でもやっていきたいと思っています。
質問7 会社について紹介したいこと、売りや特徴などがありましたらお知らせください。
KUMIKI PROJECTの「DIT(do it together)ワークショップ」は、「低コスト・短工期・多応援団」を実現するお店やオフィスづくりの新たな手法です。従来の建築で当たり前だった「施工」により完璧な空間をつくることをあえて選ばず、みんなでつくることで、塗りムラや小さなミスも含めて、人が関わること愛着の持てる空間をつくっていけるサービスです。これは既存の建築会社や工務店を否定することではなく、小さな一歩をみんなの力で始めやすくするための手段でして、こうして始める人が増えることで、業界全体にも貢献できると思っています。ともにつくることで、人と人がつながり、地域で個性ある空間が増えていくことを進めています。